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『ご挨拶』
メールマガジン女帝の密室 2016年7月配信号より


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部屋のドアの向こうから、ノックの音がした。
どうぞ、と声をかけると、おずおずと現れるタオル一枚の男。
ボンデージに着替えた私に怖じ気づいているようだ。
居心地の悪そうな顔は可哀想だけれど仕方ない。さっきまでのフレンドリーな空気は欠片も残していないのだから。
ベッドに座ったまま、私は脚を組み変える。
戸惑うような視線を感じるが、無視する。
「ご準備は?よろしいかしら」
「あ...はい」
「じゃあ、ご挨拶からしてちょうだい」
足元の床を指差すと、男は、自分がベッドに座ってはいけないということは察したようで、のろのろと正座をした。
「初めまして、お願いします」
にやけて会釈する男を、じっと、見据える。
私が無表情のままだからか、合わせたその瞳に緊張が走った。

「初対面なのに、そんなつまらないご挨拶しかしてくれないの?」
私は男の髪をゆっくりと掴むと、地面になすりつけた。
もじもじと蠢く男を奴隷へと変えていくために、まずは姿勢の指導から始める。

ご挨拶なんだから、土下座くらいはしてくれないとね。
指を伸ばして、まっすぐにね。
背中は小さく丸めなさい。
あらあら、情けない格好になったわね。
それでいいのよ。お前は。
ほら、もう一度ご挨拶してごらんなさい。

「...お願い、しま...」
丸まった矮小な背中から出たささやかな言葉に、私は、はぁ、と大きく溜め息をついてみせる。
姿勢は良くなったので、次は態度の指導だ。
面倒ではあるが、イチからきちんと教えてあげなければ、大抵の男は奴隷にさえなれないのだから仕方ない。

あら、声が小さくなったわよ?どうしたの?
さっきまでのおしゃべりの声は何処にいったのかしら。
声は出せるんだから、きちんと挨拶出来ないなんてことはないわよね。
出来ないなら出来るまでやらせるわよ。
そうしたら困るわね、遊んでもらえなくなっちゃう。
そうね...女王様、本日はご調教よろしくお願いいたします、くらいは言ってもらいたいわ。
お前に覚えられるかしら?

ふふ、と笑んで背中を撫でると、それはビクリと震えた。
シャワーを浴びたばかりなのに、緊張が度を越えているのか、もう汗ばんでいる。

ねえ、身体も熱いし耳も赤いわよ。
緊張しているのね。
何か、怖いことでもあるのかしら...。

そう囁いてから、頭をヒールで踏みつける。
軽くなじっただけで、奴隷になりつつある男からは、うう、と声が漏れた。

ほら、喘いでいる暇があったらきちんとご挨拶してちょうだい。
もう出来るわよね?

さあ、と促すと、今度はしっかりとした声が聞こえた。
「女王様、本日は、ご、ご調教、よろしくお願い、いたします」



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